中国のロボット産業はどこまで進んだ?2025年35.4万台・世界59%が示す製造業の変化
CHINA ROBOTICS / 01
産業用ロボットの現在地
世界の新規導入の59%が中国へ
工場の自動化は、未来の構想から大規模な設備投資へ。市場の大きさと供給企業の変化を読み解きます。
35.4万台
中国の2025年の産業用ロボット新規導入
+20%
同・前年比
59%
世界の新規導入に占める中国の比率
情報確認日:2026年10月21日。公表年と統計の対象年を分けて記載しています。
中国のロボット技術というと、歩いたり踊ったりする人型の映像が目に入りがちです。しかし、すでに大きな経済規模で進んでいる変化は、工場の生産工程に産業用ロボットが組み込まれていることです。導入する市場の大きさと、国内の供給企業の成長が重なり、日中の製造業の関係も変わり始めています。
2026年公表の資料は、2025年の導入実績
国際ロボット連盟(IFR)が2026年9月24日に公表したWorld Robotics 2026の発表では、中国の2025年の産業用ロボット新規導入は35万4,000台、前年比20%増。世界の導入に占める割合は59%でした。これは一年間の新規導入台数であり、工場で稼働する全ロボットの累計や、人型ロボットの販売台数ではありません。出典:IFR・2026年9月24日発表。
| 指標 | 2025年の中国 | 読む際の注意 |
|---|---|---|
| 産業用ロボットの新規導入 | 354,000台 | 一年間のフロー |
| 新規導入の前年比 | +20% | 前年の同じ指標との比較 |
| 世界の新規導入に占める割合 | 59% | 売上金額や全種類のロボットの比率ではない |
| 中国系メーカーの国内シェア | 55% | 中国市場における導入台数ベース |
中国は「使う市場」と「供給する企業」の両方で変化
同じ発表によると、中国系メーカーの国内導入は19万5,000台で前年比15%増。国内シェアは55%でした。2024年の57%より比率は下がっていますが、台数は増えています。ここは、中国系メーカーの競争力を考えるうえで大切な点です。シェアの低下だけで販売減と判断したり、台数増だけで全市場を独占したと解釈したりしないようにします。
中国国内での導入の多さは、部材、ハンド、治具、画像認識、システム接続、保守を含む周辺業務を考える入口にもなります。ただし、市場規模の拡大から、特定の企業の利益率や技術優位を直接判断することはできません。ここから先は用途別・企業別の確認が必要です。
なぜ現場での進化が重要なのか
ロボット本体から、使いこなす産業へ
工程設計
どの作業を任せ、前後をどうつなぐか
品質・制御
ばらつきや異常をどう検知するか
運用・保守
止まったときに誰が復旧するか
市場データを踏まえた本記事の実務上の整理。個社の実績を示す図ではありません。
同じロボット本体でも、製品をつかむ道具、材料の供給、検査、周辺設備との連携によって成果は変わります。目標のサイクルタイムを達成しても、段取り替えが長かったり、品質不良が増えたりすれば、工程全体の改善にはつながりません。見学では動いている瞬間だけでなく、品種変更や異常時の復旧も確認することが重要です。
日本企業は価格だけで比較しない
日本企業が中国メーカーと取引する場合は、本体価格に加えて、要求精度、対象ワーク、耐久性、現地支援、部品供給、日本語での教育や書類をそろえて比較します。逆に、中国の顧客へ部品や設備を提案するなら、「日本製だから高品質」という説明から一歩進み、歩留まり、保全時間、交換頻度など、相手の工程で測れる価値へ変える必要があります。
技術の進歩を感じたときほど、カタログの最高性能と、顧客が日常的に再現できる性能を分けて調べます。連続運転時間、試験の条件、対象外の作業、立会いの有無を記録して、同じ条件で評価してください。
市場調査は用途を絞るところから
中国全体の導入台数を、自社が獲得できる市場として売上予測へ置き換えることはできません。まずは地域、業種、対象工程、既存設備、顧客の予算と意思決定の流れを絞ります。華人的顧問へ調査を相談する際は、「どのロボットが人気か」だけでなく、「誰のどの工程を、何の指標で改善するか」を整理すると、候補企業や提携先を比較しやすくなります。